貴重な自然を育むタラナキ山に遊ぶ

貴重な自然を育むタラナキ山に遊ぶ

タラナキ地方のシンボルといえば、タラナキ山。ニュープリマスはもちろん、周辺に住む人にとり、各々度合いは違っても、山は生活の一部になっています。「今日は久々に雲が晴れて山が見えたな」「どうも寒いと思ったら、山が真っ白だ」といった具合に、人々の目は自然に山にいきます。山岳崇拝というところまでいかないけれど、暮らしを共にする存在とでもいえばおわかりいただけるでしょうか。先住民マオリの人々にとっては、神聖であり、禁忌でもあるタラナキ山はとても大切な山です。

マオリ伝説上のタラナキ山、今のタラナキ山


Photo © Rob Tucker/VTT

恋に破れた山

地元の人々に愛されるタラナキ山ですが、昔から当地にあったわけではないようです。マオリの伝説では、こんな風に語られています。
昔々、ルアペフ、トンガリロ、ナウルホエ、タラナキ、タウハラといった男性の山の神々が北島の中央部にそびえていました。同じところに唯一の女神の山、ピハナも立っていました。男性の山々は美しいピハナを自分のものにしようとします。特にトンガリロとタラナキは熾烈な戦いを繰り広げますが、タラナキはトンガリロにかないません。山腹に蹴りを受けたタラナキは地下世界に逃げます。そして、特別な力を持つ、トカ・ア・ラウホツという石に導かれ、今の場所までやって来たタラナキが地上に顔を出すと、ポウアカイという美しい女性の山脈がおりました。タラナキはポウアカイを気に入り、この地に落ち着き、風、草木、人、岩、川といった子どもたちが生まれました。
ちなみに、伝説に登場する山はどれも私たちが目にすることができます。

山がもたらす貴重な自然

現在のタラナキ山を見てみましょう。タラナキ山は高さ2,518メートルで、北島の最高峰、2,797メートルのルアペフ山に次ぐ高さです。標高ではルアペフに勝ちを譲りますが、左右対称で釣り合いのとれた姿の美しさではひけをとりません。富士山に似ていることでも知られています。名前の「タラ」は「山頂」、「ナキ」は「輝く」という意味。冬、雪化粧で光り輝く頂上の様子から名前が付けられたのに違いありません。

周囲に点在する町々を見守るように、静かにたたずむこの山は、実は休火山です。1755年と、最後に噴火したのはずいぶん前になるので、いつ爆発してもおかしくないといわれています。
タラナキ山を中心とし、約342平方キロメートルのエリアに広がるのがエグモント国立公園です。ここは原生種をはじめ、さまざまな高度の植生が観察できることで知られています。多いところで年間8,000ミリを超える降雨量と、海岸性の比較的温暖な気温のおかげで、緑の色濃い雨林が広がっています。その一方で標高が高いところまで登っていくと、高山帯の樹木や低木が密集しているのに出くわします。植物の多様性は、火山がもたらした地形、土壌などの影響からくるところも大きいそうです。

公園には、28種類のニュージーランド独特の鳥類が生息しています。絶滅の危機に瀕するノースアイランド・ブラウン・キーウィもその1つです。ほかに15種類の移入種の鳥も共存しています。また原生魚類全種の半分が、公園内や近辺の川を住みかとしています。他エリアでは見られないナメクジなどの無脊椎動物も公園の住人です。

ウォーキング・コースによってできる経験はさまざま

公園への入り口は全部で3つありますが、情報を提供してくれるビジターセンターがあるのは、内2つ。エグモント・ナショナルパーク・ビジターセンター(ノース・エグモント)と、ドーソン・フォールズ・ビジターセンターです。ニュープリマスから車で、ノース・エグモント口へは約30分、ドーソン・フォールズ口へは約1時間と、決して遠くはありません。

ビジターセンターからは、ユニークなウォーキング・コースが伸びています。センターで、当日の山の天気や状況を教えてもらい、自分の体力や持ち時間に適したコースを選び、ウォーキングに出かけましょう。

ノース・エグモント口から


Photo © Rob Tucker/VTT

ノース・エグモントを出発点とするウォーキング・コースで気軽に楽しめ、お薦めなのが、「ゴブリン・フォーレスト」を歩くものです。「ゴブリン」とは、ヨーロッパの民間伝承上の架空の生き物で、醜く、邪悪な小男のこと。そんなゴブリンに出会いそうな森が広がっているのです。

森では、火山の噴火が原因で立ち枯れたり、倒れたりした原生の樹木に、カマヒという別の固有種の低木が着生しています。カマヒは幹や枝にコブができ、ふしくれだったり、お互いがからみ合ったりし、奇怪な姿を見せています。さらにコケや他の植物がカマヒを覆っていて、あたりは不思議な雰囲気に包まれています。まるで物語の中に入り込んでしまったかのような気分になります。

コブリン・フォーレストを主に楽しめるのは、2つのウォーキング・コース。往復40分で、整備されたコースの「コネット・ループ・ウォーク」と、往復1時間で、整備されていないものの方向を指示する看板などはある「ナトロ・ループ・トラック」です。

ほかにもノース・エグモント周辺にあるウォーキング・コースは難易度や所要時間・日数もさまざまにそろっています。車椅子や乳母車を押していけるコースから、きちんとした装備の上、数日間をかけて歩く、有名な「ポウアカイ・サーキット」や「アラウンド・ザ・マウンテン・サーキット」まであります。

Taranaki / Egmont National Park Visitor Centre (North Egmont)

住所 Egmont Rd., Inglewood
営業時間 8:00~16:30
電話番号 06-756-0990
Eメール  このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。
ホームページ http://www.doc.govt.nz/parks-and-recreation/places-to-go/taranaki/places/egmont-national-park/north-egmont-area/

ドーソン・フォールズ口から


Photo © itravelNZ / Creative Commons

ドーソン・フォールズ口はニュープリマスから少し時間はかかりますが、ノース・エグモント口からのコースとは違った趣のウォーキングが楽しめ、訪れるだけの価値はあります。お薦めは滝を見物したり、川を渡ったりするもの。難易度は高くないのに、ちょっとしたアドベンチャー気分を味わえます。

入り口の名前にもあるように、ビジターセンターからそう遠くないところにある滝が、落差18メートルのドーソン・フォールズです。「ドーソン・フォールズ・ウォーターフォール」のウォーキング・コースは片道10分ほど。展望台も良いですが、ぜひ滝つぼまで下りていきたいものです。緑に縁取られ、澄んだ水が流れ落ちてくる姿には心洗われます。

一方、「ウィルキーズ・プールズ・ループ・トラック」は、川のせせらぎを耳にしながら歩くコース。途中にある渓流、カプニ・ストリームは幅がそう広いわけではありませんが、橋が渡されていないので、飛び石ならぬ、飛び岩の上を伝って渡るのが、ちょっとしたスリルです。ウィルキーズ・プールズは、階層がある滝、段瀑といえなくもないですが、どちらかというと、階層がある川といった感じ。各層にできた小さな池では、水遊びができます。水は澄み、夏でもひんやりしています。往復で約1時間20分ですが、水場で楽しむ時間もみておいた方が良さそうです。

Dawson Falls Visitor Centre

住所 Manaia Rd., Kaponga
営業時間 木~日9:00~16:00
電話番号 027-443-0248
Eメール  このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。
ホームページ http://www.doc.govt.nz/parks-and-recreation/places-to-go/taranaki/places/egmont-national-park/dawson-falls-area/

山の緑を背景に、色とりどりのシャクナゲが咲き乱れる


Photo © Taranaki Regional Council

タラナキ山周辺のお楽しみはウォーキングや登山だけではありません。庭園散策もできます。ニュープリマスから車で約30分、タラナキ山の北、カイタケ山脈との間にあるのが、プケイチ・ガーデンです。広さは3平方キロメートル少し。園芸家が集まる組織、ニュージーランド・ガーデン・トラストから五ツ星を与えられています。プケイチの目玉は何といってもシャクナゲの花。そのコレクションは世界に誇るものです。

7月に広葉のシャクナゲの花が咲き始め、ツバキ、モクレンが続きます。10月までには、色も香りもさまざまなシャクナゲが、主な散歩コース3つの内の「ロードデンドロン・ストロール」沿いで咲き競います。12月には、3メートルの高さにも育った、高山性のヒマラヤウバユリがハチミツに似た良い香りを漂わせます。でも心配はいりません。そのほかいつ訪れても、年に何度も花開くシャクナゲをはじめ、さまざまな花々が園で待ち受けていますから。

ガーデンの様子が見わたせるファウンダーズ・カフェが夏場にオープンするほか、マーケット、イベント、ワークショップなども随時行われています。

住所 2290 Carrington Rd., New Plymouth
営業時間 9:00~17:00
電話番号 0800-736-222
入場 無料
ホームページ https://www.trc.govt.nz/gardens/pukeiti/

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