地元っ子自慢の散歩道、「コースタル・ウォークウェイ」で、自然もアートも

地元っ子自慢の散歩道、「コースタル・ウォークウェイ」で、自然もアートも

ニュープリマスに住む人々がこよなく愛する遊歩道、「コースタル・ウォークウェイ」。隣町のベルブロックの東端から、ニュープリマスの西端にある港まで、タスマン海沿いを、全長12.7キロにわたり、走っています。ウォーキングするもよし、ジョギングするもよし、インラインスケートやスケートボードに乗るもよし、はたまた自転車で走るもよし。町の中心に近いところには、海に向かってせり出した大小のプラットフォームやベンチがあるので、ひと休みしがてら座って、景色を満喫してみてください。一般の通りとのアクセスポイントも多いので、好みや体力、時間の有無に応じて、楽しむことができます。

住人はコースタル・ウォークウェイを、憩いの場としてだけでなく、通勤コースとしても活用しています。暮らし、環境面で町に良い影響を与えたこと、デザイン・設計技術が優れていることなどが評価され、国内外の14もの賞を受賞しています。

目前に広がる広大な海、高い空にリフレッシュ

コースタル・ウォークウェイの魅力は幾つかありますが、まず最初に挙げるべきは景観でしょう。遊歩道は、若干内陸に入る部分もありますが、ほとんどの行程で海岸線に沿って走っています。海との間に柵などないので、目の前には、広大な空と海が広がるのみ。空の明るさを反射して色をミステリアスに変える海を目にしたり、遠くで雨を降らせている雲を見つけたりすると、自然の雄大さに改めて感心させられます。風を体で感じ、潮の香りを楽しみながら、波の音に耳を傾け、歩を進めるのは爽快です。

途中、鉄分が多いため黒いながらも、キラキラ光る砂が広がるビーチを幾つも通り過ぎます。サーファーが見事な波さばきを見せたり、カイト・サーファーが風に乗って、フルスピードで波間を走り抜ける姿を見かける個所もあります。流木が横たわっていたり、波に洗われ、丸くなった石や岩が転がっていたりと、西海岸ならではの荒々しい自然が荒涼とした風景を作り出しています。波が高い時には、遊歩道のところどころで水しぶきが上がり、思いがけず濡れることもありますが、それもご愛嬌です。ゆっくりと水が海に流れ込んでいく河口にかかる橋を幾つか渡ります。途中、大人でも遊びたくなるような遊具が置かれた、子ども用の遊び場や、干潮の時には、幼魚、カニ、ヤドカリ、ウニ、ムール貝などが見られる磯もあります。

また、港近くの海上には、シュガーローフ諸島が浮かぶのが見えます。ここは19種に及ぶ海鳥1万羽の生息地であると共に、ニュージーランド・オットセイの繁殖コロニーでもあります。ほんのときたまですが、オットセイがコースタル・ウォークウェイにまで上がってきて、びっくりさせられます。埠頭周辺にはコガタペンギンの巣もあり、時々かわいい姿を見せてくれます。

ウォークウェイに面するタスマン海の沖合いでは、時折シャチやザトウクジラ、セッパリイルカが姿を見せることがあります。セッパリイルカは、ニュージーランドの北島は西海岸でしか見られず、世界にわずか60頭ほどしか残っていないといわれる絶滅寸前種です。こうした動物たちが姿を現してくれる可能性もゼロではありませんので、ちょっと注意して歩いてみるといいかもしれません。

潮風に吹かれ、開放的な気分でアート鑑賞

コースタル・ウォークウェイで満喫できるのは、自然だけではありません。歩きながら、アート鑑賞もできてしまうのです。遊歩道沿いには、端から端までパブリック・アートが点在しているからです。

多く見かけるのは、1~1.5メートル程度のサイズの岩を刻んだ彫刻です。天然素材に手を加えたアートは、自然の真っ只中にあるウォークウェイにふさわしいもの。空と海が広がる風景にぴったりマッチします。町の中心部近くの遊歩道では、2年に1度、国内外の彫刻家が一斉に地元産の安山岩に彫刻を施す、テ・クペンガ・インターナショナル・ストーンスカルプチャー・シンポジウムが開かれます。ウォークウェイ上には、そこで創られた作品もあります。

ほかにも、地元で人気があるアーティスト、ニュープリマスをこよなく愛したアーティストの作品が、散策をより楽しいものにしてくれています。

ウォークウェイ上のニューフェイス

昨年12月にウォークウェイに仲間入りしたばかりなのが、『ライト・オン・ザ・ランド』です。長いウォークウェイの中でも、町の中心部からすぐのところにあります。地元彫刻家のハワード・トゥフリーによるもので、長さ6メートル、高さ2.7メートル、奥行き2.5メートル。どの面もカーブを描いたステンレス製で、目の前に広がる海、周囲の植物、青い空などが映りこみ、彫刻自体が自然の風景のようです。天気や海の状態などが変われば、この作品自体の表情も変わるのが、魅力です。自分の姿を映してみても面白いもの。ぜひ試してくださいね。

長いポールの先に目玉?

タラナキ山と並んで、町のシンボルといわれる、『ウィンド・ワンド』。長い棒の先に目玉が付いたような、ユニークな姿です。クライストチャーチ出身ながら、展覧会を開いたことをきっかけに当地を気に入ったアーティスト、レン・ライの「動く彫刻」です。高さ45メートルで、ファイバーグラスとカーボンファイバー製のボディは、タスマン海からのどんな風も受けられるよう設計されており、風の強さによって揺れ方が違います。先端の球部分には発光ダイオードが入っており、夜にはライトアップ。暗くなってからの姿もなかなかいいものです。ここからそう遠くないところには、レン・ライの作品のみを収蔵した美術館もあります。

青空に白い姿がまぶしい

ウォークウェイの東側にある、ワイファカイホ川の河口にかかる、長さ83メートルの橋、テ・レワレワ・ブリッジ。橋とはいっても、その真っ白で優美な姿は「アート」といってもおかしくありません。砕けた波のようにも、クジラの骨格のようにも見えますが、地元のマオリの準部族と、風、海、大地の間の聖なる関係を表しているのだそうです。橋のアーチがタラナキ山に向かって開くように配置されているのは、山を敬うマオリの人々の要望です。このため、タラナキ山が橋の中にすっぽりと収まったように見えるため、今では絶好の記念撮影スポットになっています。