連載コラム - フード&ドリンク-
超級市場葡萄酒廉売記
このコラム一覧へ第3回 ワインに掛けられた呪文
「魚には白ワイン,肉には赤ワイン」
「白ワインは冷やして,赤ワインは室温で飲む」
みなさんがワインを飲むとき,この言葉が呪文のように心のどこかに引っ掛かっているかもしれない。しかし,これはあくまでも大雑把な原則に過ぎない。決して間違っているわけではないが,原則だから,例外もある。
というわけで本日の1本は白ワインであり,これを冷蔵庫で30分ほど冷やしただけ(室温のちょっと下くらい)で飲む。そして本日の1品は肉料理である。
ワインはネルソン産のSeifried,品種はシャルドネ,ビンテージ2006年。このワイナリのシャルドネは普及クラス(一般価格20ドルちょっと,バーゲンで14ドルくらい)でも濃厚な味わいで私のお気に入りであるが,今回は少々奮発して,Barrique Fermented(樽発酵)と呼ばれる上級クラスを開ける。これもスーパーマーケットでバーゲンが行われており,通常で30ドルくらいのものが25ドル程度まで下がっていた。
この白ワインに合わせる肉料理は,日本人にもおなじみのスパゲティ・カルボナーラ。2回連続のパスタ料理だけど,ただいま「前菜」を中心に紹介しているのでご了承を。これから次第にメインコースに移っていく予定である。
スパゲティ・カルボナーラといえば,一般的にはベーコンを使う。しかし,脂身たっぷりの豚肉の塩漬け「パンチェッタ」(イタリア式ベーコン)を使ったほうがシャキシャキ感が増す。
パンチェッタはニュージーランドの一般的なスーパーマーケットでも手に入るけれど,私が愛用しているお店は,なんと!魚屋さんである。オークランドのシティにあるAuckland Fish Market。ここには日本人が泣いて喜ぶ寿司ネタ各種が並んでいるだけでなく,世界中の各種食材も揃っており,パンチェッタのブロックが安定供給されている。私にとっては食材の秘密基地なのだ。
カルボナーラは,調理のタイミングと素材ですべてが決まってしまう,なんだか日本の蕎麦やウドンに通じる食べ物だと前から思っている。私が使う素材も,パンチェッタ,パルミジャーノ風チーズ(ニュージーランド産なので,あくまでも「…風」という名称),タマゴ,そして料理用の白ワイン。あとは胡椒とスパゲティの麺。これだけである。もちろん生クリームなんぞ使いません(ちなみに本日の下ごしらえは奥様,調理は私)。
調理開始。まずバトンカットにしたパンチェッタを軽く炒め,脂身が透き通ってきたら白ワインを景気良く入れる。そして,おろしたてのパルミジャーノ風チーズを入れて煮立たせる。
スパゲティは茹で上がり時間の1分前にお湯から出して,パンチェッタとチーズのソースの中に投入,軽く絡ませる。そしてお皿に盛り,最後に溶きタマゴを入れ,胡椒をたっぷり掛けて完成。
Seifriedの樽発酵シャルドネは,あまり冷やさないほうがいい。上述したように,室温のちょっと下くらいで十分である。この状態でサーブすると,このワインの身上である豊かなオーク樽の香り,そしてバニラやアーモンドの風味がパァッと広がる。
ここでカルボナーラを一口。うーむ,茹で具合も丁度いい。白ワインとの相性もいい。
パンチェッタ(ベーコン)の原料である豚肉,そして鶏肉など「血のニオイ」が弱い素材は,肉であっても白ワインのほうが合う。
反対に,魚であっても,たとえばカツオのように血のニオイが強い素材は赤ワインのほうが合う。ただし,いずれにしても日本式のサシミや寿司では,赤ワインも白ワインも合わない。醤油との相性が悪いからだ。たとえばカツオであれば,軽くあぶって,にんにくと赤バルサミコをベースとしたソースを掛けるなど,醤油以外の味付けがお勧めである。
では,赤か白か,室温か冷やすのか,手っ取り早く決める物差しはないのか? と思ったあなたに,私が採用している原則を(いちおうオリジナルなので,かなり偏っております)。
1 血のニオイがする素材は赤,しない素材は白
2 黒っぽい果実をベースにしたソースは赤,白っぽい果実のソースは白
3 醤油系の味付けは,素材と関係なくロゼ又はスパークリング
4 白でも赤でも,すっきり系のワインは冷やす,重厚系のワインは室温程度
5 でも日本の夏は,室温じゃだめですよ(ちょっと冷やしてね)
ただし,これも原則であり,例外も…って,また振り出しに戻ってしまうなあ。ワインと料理の相性,一筋縄ではいかない,っていうのが最大の原則かな。
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