自然美もいいけれど、アートもなかなか! アート&カルチャーな一日を過ごす

自然美もいいけれど、アートもなかなか! アート&カルチャーな一日を過ごす

人気のある旅行ガイドブックといえば、日本語では、『地球の歩き方』、そして英語では、『ロンリープラネット』。『ロンリープラネット』シリーズの中で、2017年に旅したい、お薦めの国や都市をまとめた、『Lonely Planet’s Best in Travel 2017 』に、ニュープリマスがあるタラナキ地方が、訪れてみたい「地域トップ10」の世界第2位に選ばれました。同書にはタラナキ地方の魅力について書かれていて、自然の美しさと並んで挙げられているのが、アート&カルチャーです。

難しいことは考えずに、気軽に美術館、博物館めぐり

同書で特に、「絶対見逃してはダメ!」といわれているスポットのひとつが、2015年にできたアートギャラリー、レン・ライ・センターです。隣接するゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー、博物館・図書館・インフォメーションセンターが一緒になったプケ・アリキもお薦めスポットに名を連ねています。「私はアートがわからないから」とか、「僕は歴史が苦手だから」と言わずに、ぜひ訪れてみてください。ニューメディアが中心だったり、インタラクション形式を取り入れたりしていて、誰にでも楽しめるようになっていますから。

田舎町にあって、斬新なモダンアートの宝庫 ~ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センター


Photo © Keith Allum - ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センター

ニュージーランドで唯一、モダンアートを専門とする美術館がゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリーです。日本を含め、国内外のアーティストによる実験的で、画期的なアートの特別展や常設展で、いつも話題です。

隣に2015年に誕生したのが、レン・ライ・センター。これまた国内でたったひとつの、ひとりのアーティストに特化したアートギャラリーです。ギャラリーの名にもあるように、レン・ライ(1901~1980)の作品が集められています。彼はクライストチャーチ出身で、映像作家、画家、作家とさまざまな顔を持ち、ニュージーランドはもちろん、ロンドンやニューヨークなどでも活躍したことが知られています。彼のアートにインスピレーションを受けてデザインされた、外壁がステンレスという変わった建物自体も要チェック。外観はいろいろな角度から、いろいろな時間に見てみてください。

前衛的なことで知られる彼のアートの中でも、特に注目したいのが、映像と、キネティック・スカルプチャー(動く彫刻)。彼が後者を創り始めた1950年代のキネティック・スカルプチャーといえば、「モービル」が挙げられますが、そんな幾何学的なスタイルが大半を占める中、ライはパワフルなエネルギーを感じさせるものの制作に力を注ぎました。

どんな作品があるの?

レン・ライ・センターでは、4ヵ月ごとに展示物の入れ替えが行われており、目玉であるキネティック・スカルプチャーも順次替わっていきます。ですので、ここでご紹介した作品が必ず見られるというわけではありませんが、彼のキネティック・スカルプチャーとはどんなものなのか、ちょっと覗いてみましょう。

『フリップ・アンド・ツー・ツイスターズ(トリロジー)』

ダイナミックで、力強さだけでなく、激しさまでもが伝わってくる、この作品の展示は3月26日まで。ライのキネティック・スカルプチャーの中でも人気が高いものです。帯状のステンレスが踊り、こまかに震え、大きな音が展示室に響きます。美術評論家にいわせると、中央のループが女性、両脇の2本が男性を表しているそうですが、あなたはどう思いますか。

『ファイブ・ファウンテンズ・アンド・ファイヤーブッシュ』

幾つものステンレス製のロッド(棒)を回転させた『ファウンテンズ(噴水)』は、ライのキネティック・スカルプチャーの中でも、動きが最も優雅なもので、サイズなどバリエーションが幾つもあります。センターオープン時に、最初にビジターを迎えたのも、同シリーズの『フォー・ファウンテンズ』でした。ゆっくりと回転するロッドが作り出す影と、かすかな金属音が、その姿の美しさに色をそえます。それと対照的なのが、『ファイヤーブッシュ』。、『ファウンテンズ』と同じ形をしていながら、まったく違う、激しくい動きが特徴です。

一方、ニュープリマスを訪れれば、いつでも見られる彼の作品もあります。それが、コースタル・ウォークウェイにある『ウィンド・ワンド』です。ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センターからも徒歩ですぐのところにありますから、ぜひ散歩がてら見に行ってみてください。

これから何が見られるの?

1977年にゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリーで展示されたキネティック・スカルプチャー、『ファウンテンIII』が戻ってくる Len Lye Foundation Collection, Govett-Brewster Art Gallery/Len Lye Centre

<企画展>

All Lines Converge
~3月20日 @ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー
当ギャラリーが所蔵する、国内アーティストによる、1970年代から今日に至る作品

Len Lye: Experimental Moves
~3月26日 @レン・ライ・センター
ライが、実験的な映像制作から、キネティック・スカルプチャーに制作の中心を移した時期の作品の数々

Flip and Two Twisters (Trilogy) 
~3月26日 @レン・ライ・センター
ウィークデーは12:00、14:00、週末は11:00、13:00、15:00に見学可能。所要時間は約10分

Len Lye: Fountain III
3月27日~7月30日 @レン・ライ・センター
同アートギャラリーでライが初めて開いた個展から40周年を記念して行われる。当時展示された『ファウンテンIII』が戻ってくる

Open Collection #3:Tom
3月27日~7月30日 @ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センター 
当地で最も愛されるアーティストのひとり、トム・クライスラーの作品展。だじゃれ、詩、落書きを絵画に取り入れている

In Play: Hany Armanious, Peter Robinson, Jim Speers
4月1日~7月23日 @ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー
大きさ、色、材質もさまざまに、3人のアーティストが日用品などを取り入れたインスタレーションを披露

On an Island: Len Lye, Robert Graves and Laura Riding
4月8日~8月6日 @レン・ライ・センター
スペインのマヨルカ島での数ヵ月の滞在時のライの作品を集めたもの。フィルムを傷つけて制作された映像作品の代表作をはじめ、手がけた書籍の装丁なども出品される

Revealed #2 – Florian Pumhosl and Paul Bonet
4月8日~7月23日 @ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センター
オーストリア人現代アーティスト、プムヘスルがコレクションする、フランス人書籍装丁家ボネのデザインを公開

Oskar Fischinger’s Raumlichtkunst (c. 1926/2012)
4月8日~8月6日 @ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センター
マルチメディアの先駆者として知られる、ドイツ人アニメーター、フィッシンガーによる映像

<常設展>

WharehokaSmith: Kureitanga II @トッド・エナジー・ラーニング・センター
地元のマオリ人アーティスト、ファレホカスミスにより室内の壁に描かれたマオリのデザイン。公開は金・土・日曜日

Projection Series #4: Man Without a Camera @レン・ライ・センター・シネマ
フィルムに直接画像を描きこんだり、傷をつけたりし、カメラを使わないで制作された、レン・ライの映像作品の数々

Govett-Brewster Art Gallery/Len Lye Centre

住所 42 Queen St., New Plymouth
電話番号 06-759-6060
入場料 無料
開館時間 10:00~18:00
定休日 火曜日、アンザック・デー午前中、クリスマス
ホームページ http://govettbrewster.com/

ぶらりと立ち寄って、タラナキのお勉強 ~Puke Ariki


Photo © Rob Tucker

タラナキ地方のことを知るのにうってつけなのが、博物館、図書館、インフォメーションセンターが合体した、プケ・アリキです。建物のデザインから、環境に優しい運営方法、さらにはインタラクティブ形式を多く取り入れた展示法に至るまで、高い評価を受け、多くの賞を受賞しています。

博物館の展示は2つのフロアにまたがっています。インフォメーションセンターがある1階には、当地の人々の生活や、経済を支える産業の歴史についての「タラナキ・ライフ」の展示があります。150年前に、英国からの移民の一家に建てられたコテージ、「リッチモンド・コテージ」も、開拓時代の一般家庭の様子を伝えています。博物館の隣に移築されたかわいらしい石造りのコテージには、そこに住んでいた人たちが使っていた日用品が展示されています。


Photo © Rob Tucker

2階にあるのは、科学や文化の面から見たタラナキ山についての「コ・タラナキ・テ・マウンガ」、エグモント国立公園など、周辺エリアの自然環境についての「タラナキ・ナチュラリー」の各展示室。正面玄関から入ると、天井から下げられたサメにびっくりさせられますが、約300万年前までは、タラナキ地方の沿岸を泳いでいたムカシオオホホジロザメの複製です。通常10メートル以上の体長を持っているそうですから、本物にお目にかからずに済んでよかったかもしれません。


Photo © New Plymouth District Council

同フロアにはもうひとつ展示室があります。それはマオリ、特にタラナキ地方の部族についての展示が行われている、「テ・タカポウ・ファリキ・オ・タラナキ」です。多くの貴重なファカイロ(彫刻)のコレクションを所蔵していることで知られていますが、中でも、「モツヌイ・エパ」と呼ばれる、食糧品貯蔵庫の壁のひとつを飾っていた木製パネルは、入念な作りでありながら、大胆で力強さを感じさせるもの。彫られているのは、彫刻師または貯蔵庫の持ち主の先祖といわれています。


Photo © Motunui epa, collection of Puke Ariki Museum, New Plymouth (PA2015.041 to PA2015.045)

モツヌイ・エパがプケ・アリキで展示されているのには、興味深いいきさつがあります。モツヌイ・エパは1820年ごろに作製されたものとされ、国内で起こった土地戦争に巻き込まれないよう、湿地帯に埋めて隠されました。そして約150年もの時を経て、1972年に見つけられました。その後、秘密裏にスイスのコレクターに買われ、海外に持ち出されてしまいます。コレクターの娘の誘拐という意外な事件を機に、身代金を捻出するためにオークションに出されたところを、ニュージーランド政府が発見。全6回にわたる交渉の末、2015年にやっとこの地に戻ってきたというわけなのです。

彫刻のほかにも、キーウィの羽根を使った丈の長いマント、マオリがこの地にやってきたカヌーのうちのひとつのいかり、インドのガンジーより早い時期に非暴力で植民地軍に対峙した、郊外に位置する村、パリハカに関する展示などを見ることができます。

Puke Ariki

住所 1 Ariki St., New Plymouth
電話番号 06-759-6060
入場料 無料
開館時間 月・火・木・金 9:00~18:00(水21:00、土・日17:00)
定休日 祝祭日
※リッチモンド・コテージ 開館時間 土・日・祝祭日 11:00~15:30 定休日 クリスマス
ホームページ http://pukeariki.com/

ちょっとコーヒー、ちょっとお土産

アート鑑賞や博物館見学というのは、自分が思っている以上に長い距離、時間を歩いているもの。ゴヴェット・ブリュースター・アートギャラリー/レン・ライ・センターにはモニカズ・イータリー、プケアリキにはアーボリオと、カフェ/レストランが併設されています。どちらも町で評判のお店なので、歩き疲れたら、ひと休みしてみてください。また、また、お土産によさそうなアート・グッズや書籍を置くショップもあります。前者のショップは入り口横、後者はインフォメーションセンターの中になります。