南島の大自然の中で オーロラ鑑賞

南島の大自然の中で オーロラ鑑賞

ダニーデンとオーロラ 出逢い

2003年からオークランドに住み始め、夜空を眺めては感動を覚えることが数多くありました。そんなある時、南島でオーロラ(極光)を観測するため、折に触れ南島の各地に出かけるようになりました。幼少期に米国アラスカ州に住んでいた経験もあり、その当時はオーロラは日常的に見られたので、簡単に見える感覚でいたのですが、一向にオーロラに出会えない夜が続きました。これはもう、観るためには住んだ方が得策だと、意を決してダニーデンに引っ越しました。そこからは晴れればオーロラを求め夜を彷徨い、なかなか夜に人が訪れることのない絶景スポットを次々と巡りました。その甲斐あって、念願のオーロラを観測することができるように なり、そして気がつくとそれが日常の一部となり、北半球とはまた異なったオーロラの素晴らしい演出の虜となりました。

南島のオーロラについて

南半球のオーロラはサザンライツ(オーロラ・オーストラリス)、北半球のオーロラはノーザンライツ(オーロラ・ボレアリス)という名で親しまれています。
オーロラの活動は、実は太陽の活動と密接に関係しています。簡潔に言うと、活発な太陽の活動が起こす太陽風により放出された粒子が、地球の磁場から発生しているシールドに衝突し、層の薄い南極圏と北極圏に入り込み化学反応を起こして発光したものがオーロラです。

そのため、オーロラの発生頻度は実は南北とも同じくらいなのですが、その位置により見え方が違います。北半球ではオーロラの発生している直下に立つことができる為、オーロラが頭上で活動しているのが見えます。それに対して、南緯45.9度に位置するニュージーランドの南島のダニーデンで見えるオーロラは、低緯度オーロラと呼ばれる類で、オーロラの活動が大きくなった時に南極近くから押し寄せてくるオーロラを横から見るような感覚です。そのため体感として、オーロラの活動が大きくなるとともにぐいぐいとむこうから大きく迫ってくるように見えます。
それが見えた時は心拍数も上がり興奮します。実際に近づいてくる激しい動きのオーロラの迫力を感じるだけではなく、迫りくる強烈な光の輝きや様々な様相の変化を目の当たりにした高揚感はなんとも筆舌に尽くしがたいものがあります。

南島でオーロラが見えることは、つい最近まで地元の人でも知らない人が多かったのですが、ソーシャルメディアやマスメディアを介し、ここ数年で知る人が増えました。
ただ、北半球に比べると、観測できる土地が限られていて、海が大半を占める南半球では南極以外での観測可能な陸地はニュージーランドの南島と、隣国のタスマニア島に限られます。南アメリカの最南端でも見えそうなものですが地球がやや傾いている為、オーロラ帯と呼ばれる発生地帯からは遠くなり観測には適しません。その為、ニュージーランドの南島は南半球での貴重なオーロラ観測地となるのです。

 

オーロラを見るために

ぜひ一度は観ていただきたいオーロラですが、その為に幾つかの重要なことがあります。
まず一つ目は、暗い所でみるということです。暗ければ暗いだけより繊細な部分まで見え、闇によって光が更に強く見えて迫力も増します。
オーロラのシーズンは冬と思われがちですが、それも実は暗闇と関係があります。オーロラ自体は一年を通して昼夜問わず発生しています。しかしながら、昼の光にはかき消されてしまうので、日照時間の長い夏は観測できる時間が短くなってしまい、冬の方が好条件だという事になります。

2つ目に重要なのは晴れていることです。曇り空では雲の切れ間からのみ観測できるだけです。分厚い雲の切れ間から闇に煌くオーロラを観るのも一興ではありますが、やはり雲一遍無い晴 天の星空を舞台にした臨場感あるオーロラは格別です。


Photo © Taichi Nakamura [雲の切れ間とオーロラ ダニーデン・ブラックヘッドビーチ]


Photo © Taichi Nakamura [雲の切れ間とオーロラ ダニーデン・トンネルビーチ]

そして3つめはオーロラの見える方角である南に街や街頭などの光害が無い事です。南の水平線あたりからオーロラが見えてくるので、南島の南端はオーロラ発生源に非常に近くて暗い所も多く、ダニーデンでは南が海岸である為光がなく好条件です。内陸に行っても暗い所が殆んどなので観測場所が豊富にあります。

オーロラは、太陽の活動と連携し、太陽の活動がより盛んな時に発生します。そのため、太陽活動が盛んな時期(極大期)に比例して多くのオーロラを観測することができます。その周期は11年サイクルです。
直近の極大期はだいたい2012~2015年の間でした。そして現在は、次の極大期まで太陽の活動が比較的静かになる時期です。ですが、昨年2017年の9月に、ここ11年の中で最大のオーロラを観測しました。急に夜空は明るくなり、地平線を超えて緑の層が出現したと思いきや、頭上のそこら中が激しいオーロラの動きに包まれました。オーロラの出現は極大期の時の方が盛んではありますが、その期間だけに限られないのです。


Photo © Taichi Nakamura [最大級のオーロラ 始まる瞬間]

突如オーロラが現れた時は、目の前の真っ暗だった景色が急に現れた強い光に包まれるため、よく驚かされます。それまでなかったカーテン状の光が現れては高く聳え立ち、まるで風で揺られて動いているかのように見え、様々な形状に変化して行く姿に魅了されます。オーロラは毎回出現する姿が違い、動きが速い時、光の強い時、ユニークな形の時、色彩の層が見える時など、何年見続けていても新鮮で見たことのないようなオーロラに出会います。その出会いに期待を寄せて、オーロラが現れそうな時は常に夜空を眺めて来ました。オーロラが見えた時の興奮はくせになるもので、気がつくと寝る暇も惜しんでオーロラを追い求めて彷徨わずにはいられなくなりました。

南島は、夜空が非常に綺麗で、南半球だからこそ見られる星座や天の川の部分を鑑賞できます。南島を訪れた夜は、外に出て空を見上げてみることをお勧めします。そこには輝く満天の星が待っていることでしょう。そして、何の前触れもなくふいにオーロラがあなたの目の前に現れるかもしれません。ぜひチャンスをうかがってみてください。